肉巻きおにぎり

あたまがわるい

氷帝学園の制服の魅力ー強制腹チラ丈に焦点を当てて―

※中学生の腹チラに大喜びするキモータがいます。


 テニスの王子様には、他作品には見られない無駄に細かいプロフィールが多数存在している。

 父親の職業・家族構成・使用ラケットにシューズのメーカー・今一番欲しいものetc……正直オタクの方が、友人よりもキャラクターについて詳しいのではないだろうかと錯覚するほどの情報量だ。


 それらの情報が掲載されているキャラブックには、簡易版の学校案内のようなものまで載っている。

 教育理念・在籍生徒数・カリキュラム・校歌(以下キリがないので省略)、本編とは一ミリも関係ない情報が山ほど載っている。しかも主人校の青春学園中等部だけでなく、青学と対戦した他校の情報も載っているのだから、至れり尽くせりの仕様である。

 その中には、各校の制服も、男女・冬夏共に掲載されている。各キャラクターが各々好きに着崩したバージョンではなく、制服案内に載っているような画像だ。

 

 その中で、あの跡部様が率いる、『氷帝学園中等部』の制服は異質である。

(厳密に言うと、制服ではなく、氷帝の生徒として相応しい服装として推奨されている基準服だ。しかし、作中では制服と同格の扱いをされており、20.5巻では制服表記もされているため、以下制服で統一する。)

 比嘉中のホストスーツや山吹の白ランなんかと比べたら随分真っ当に見えるかもしれないが、氷帝の制服には他にはない特徴がある。その特徴を説明すると共に、氷帝の制服の素晴らしさについて語りたいと思う。


 

 氷帝の制服の最大の特徴は、男女ともに、制服の丈だ。

 冬服はブレザーに被っていてワイシャツの丈が見えないが、夏服は顕著だ。そのため、以下の制服丈に関する話は夏服の話である。

 まず、シャツの丈が短い。男子で言えば、ベルトに掛かるくらいの長さだ。

 他校の制服はシャツイン前提で作られているが、氷帝学園の制服だけはちがう。「絶対にシャツインさせてなるものか!!!」というデザイナーの熱い意思が感じられるデザインなのだ。

 さらに20.5巻には、『Yシャツは短め! 腕を上げたとき、チラっと脇腹が見える長さに調節してる!』との記述がある。

 この表記では、氷帝の生徒が自分の意思で丈を調節しているようにも感じられるが、もう一つのオシャレポイントである、『ネクタイはゆるめ!』をガン無視している忍足侑士の制服丈も短いため、自分の意思で調節しているわけではないと考えている。

 氷帝の制服丈による元祖腹チラは跡部景吾だが、忍足侑士も原作アニメKONAMIと全媒体で見事な腹チラ丈を披露している。アニメでは日吉も腹チラ丈だ。

 彼等のようなタイプが、自らの制服の着こなしをオシャレに演出しようとする光景はあまり想像したくない。それはそれで可愛らしくもあるが、そういうキャラではないだろう。

 二人とも姉と兄がいるため、「だっさ!!!!!!!」とdisられたうえで、改造されている可能性もなくはないが、そもそも学校側が『氷帝学園の生徒としてふさわしい服装』として提示しているのがすでに腹チラ丈なのだ。

 つまり、氷帝学園中等部は、全校生徒に腹チラを強要しているといっても過言ではない。腹の突出したデブは退学しろという遠回しのメッセージとも受け取れる。

 この腹チラ丈を回避する方法として一つ挙げられるのが、大きめのサイズを購入するという案だ。

 しかし、そんな安易な回避方法はデザインの段階から想定済みだったのだろう。

 氷帝の制服は、丈はやたらと短いくせに、なぜか袖だけは十分に長い謎仕様である。裾は腹チラ丈でも、夏服の袖は五分丈に届きそうな長さに設定されている。腹を隠そうとすれば、今度は袖が長すぎて不格好になるのだ。

 氷帝の制服をデザインした人間は、「絶対に腹チラさせてやるんだ!!!!!!」と固く拳を握りしめていたにちがいない。


 この氷帝丈ともいえる長さは、男子生徒はまだしも、腹を暖めなければ死んでしまう魔の日々が存在する女子生徒からしたら最悪の作りともいえる。

 また、女子生徒の受難はこれだけではない。

 女子生徒のスカート丈も、はっきり言って異常な短さである。他にも青学がかなり短い丈に設定されているが、氷帝も青学に負けず劣らずの長さだ。推定&目測ではあるが、膝上20センチくらいはあると思う。

 都内の女子中学生であれば、短いスカートなんて珍しくないのかもしれない。

 しかし、これを学校側が推奨していることが問題である。

 これは女子中学生だけでなく、女子高生にも共通するが、これほど短いスカート丈の場合、確実に生徒がなんらかの手を加えているのである。切ったり折ったりベルトで固定したり――世間の女学生は涙ぐましい努力で短いスカート丈を作る。なぜならば、短いほうがかわいいからだ。長いのはダサいという認知があるからだ。

 それでも、長めのスカート丈を好んだり、そもそもスカート丈に関心がなかったりする生徒も存在する。普通は彼女たちのような生徒が模範生として扱われ、校内の規範とされている。

 そんな中で、女子中学生に膝上20センチを推奨する氷帝学園はやばい。

 しかも氷帝女子は腹チラ丈の呪縛まで抱えているのだ。「お昼はちょっと食べすぎちゃったな」とスカートを上げて腹を隠そうとすれば、今度は下着が露出する。「最近太ももが気になるんだよね」と足を隠そうとすれば、今度は腹が丸見えになる。

 氷帝女子にとって、夏は魔の季節であることが推測できる。

 女学生は夏が来るたびに、「痩せなきゃやばい」と言う生きものではあるが、氷帝女子にとっては死活問題なのだ。肉を隠すための布がないのだから。布が推奨されていないのだから。

 

 また、テニスの王子様はモブキャラも美形ばかりで、氷帝女子・男子共にデブは一人も出てこない。

 しかし、氷帝の制服を考えると、まあわからなくもない。デブは氷帝の制服、とくに夏服を着ることができないのだ。制服ばかりの校内で私服は悪目立ちする。強いハートで制服を回避したとしても、終業式などの式典では、制服での出席を義務付けられていることだろう。

 20.5巻では、作中の都内女子中高生を対象に、『都内でカッコイイ男の子が多いと思う学校は?』というアンケートを実施している。

 堂々の第一位に輝いたのは、そう、件の氷帝学園だ。

 これはデブには氷帝の制服を着こなすことができないため、氷帝男子の容姿ランクが底上げされた結果なのかもしれない。デブは夏服を着られないのだ。アンケート調査をしたのはおそらく夏である。仮に在籍していたとしても、制服がなければただのデブだ。氷帝生として認識されることが適わない、野良のデブになってしまう。

 

 ここで氷帝学園中等部の顔である跡部景吾様とご学友をモデルに、氷帝の腹チラ丈(夏服)の可能性について語りたいと思う。

①授業中の板書

 世界の跡部様とはいえ、普段は他の生徒達と同じように授業を受けています。学生の授業の中で、板書は日常茶飯事です。教師から「ではこの問題を……跡部くん、黒板に答えを書いてください」と言われたら、かの跡部様も従わなければなりません。余談ですが、出席番号一番の生徒は当てられやすいという俗説もあります。

跡部様が前に行く→チョークを手にする→黒板に答えを書く

 このとき、回答欄が上方にあった場合、跡部様は腕を上げなければならないのです。腕を上げたら何が起こるか、そう、腹チラします。ヘソは黒板にしか見えなくとも、脇腹が露出します。下手したら背中も露出することでしょう。

「授業なんてだり~~~~帰りて~~~」とあくびをしていた女子生徒は息を呑みます。特に3年A組の生徒の多くは王国民で形成されているのです。そんな中、授業中に、大変見やすい位置で、跡部様の肌が露出するのです。

 原作や各媒体で度々描写されているように、氷帝学園の中で跡部様は超一流芸能人のようなものです。それなのに日常の一端で惜しげもなく背中が晒されてしまう――おわかりでしょうか? 氷帝学園の制服は大変罪深いものなのです。きっと数名の生徒は舌を噛み切って自死を選ぶことでしょう。

 

②物を拾う

 跡部様はほとんど樺地宗弘くんと行動を共にしていますが、さすがに短い休み時間は樺地くんを召喚することは適わないでしょう。彼には彼の生活があるのです。

 そんな中、教室で誰かが消しゴムを落としたとします。消しゴムはころころ転がっていき、まるですべての打球が手塚の元に吸い寄せられるかの如く、跡部様の足元へと馳せ参じるのです。

 インサイト持ちの跡部様は当然消しゴムの襲来にもいち早く気づくことでしょう。どれだけ傍若無人に振る舞っていても、根は英国紳士でございます。跡部様は足元に転がってきた消しゴムを拾います(このとき、立ったまま腕を伸ばして消しゴムを拾うと尚いい)。

 すると、なんてことでしょう。跡部様の背後にいた生徒は自分の目を疑います。制服がとんでもない勢いでめくれ上がるではないですか。もう腹チラどころか背ガバの勢いで捲れた制服。そこから覗く、完成された肉体の美しさたるや――まず、直視した生徒は正気を保っていられなくなることが予想されます。

 そんな中でも跡部様は天才的なフットワークで易々と消しゴムを拾い、生徒に渡します。しかし、教室内の時は止まったまま。跡部様の肌がこんなにも無防備に下々の者へと晒されてしまう――そんな可能性を氷帝の制服は秘めているのです。

 

③電車(忍足侑士を例に)

 今回は、氷帝内で唯一電車通学が確定している忍足侑士くんを例に氷帝制服の可能性について語ります。

 忍足侑士くんは電車の中で本を読んだり、眠ってしまったりすることから、基本的には座るタイプだということが予想されますが、座れない日もあるでしょう。そんなとき、忍足侑士くんは文庫本を片手に、もう片方の手でつり革を持っていると想定します。

 すると、当然ひきしまった腹が衆目に晒されることとなります。忍足侑士はジャージも制服も首元を緩めることなく、全締めの状態で着ているため、大変アンバランスなことになります。デコルテ隠して腹隠さず、否、裸眼隠して腹隠さずといった――もう、大変たるんどる状況になるのです。正面の座席に座っていた女性は語ります。「大人しそうに見えて腹筋が割れていました」と。やりますね、宍戸さん……。

 パッと思いついたのは、この三つのシチュエーションだったが、他にも腹チラ丈の可能性は無限に広がっていることだろう。ファンの数だけ、腹チラのシチュエーションは存在している。

 

 散々デザイナーの悪口のような口調で語ってきたが、氷帝の制服丈は素晴らしいのだ。特にテニスの王子様、並びに氷帝ファンの当方からすると、あの制服丈は浪漫に満ち溢れている。

 氷帝学園中等部男子硬式テニス部の面々は、日常生活の中で、事あるごとに腹チラする。腹チラが日常なのだ。テニスをしなくとも、ただ生活を送るだけでちらちらと肌が覗く。ファンサービスに富んだ制服なのである。

 また、思春期であるがゆえに、腹チラを気にして生活する生徒も中にはいるかもしれない。腹チラによって行動制限される場面も時にはあるだろう。制服の裾を引っ張ったり、タオルで隠したりして、腹チラを回避しようとする光景も想像できる。育ちの良さが伺えて最高である。


 また、実用性はともかく、デザインは完璧だと思う。

 女子生徒の視点で考えると、氷帝の制服は私の理想だ。短いスカートもシャツインしなくていい作りも、とても好みだ。私が小学生の頃に憧れた制服はこういうものだったと記憶している。現実は非情で、長くて野暮ったいスカートやシャツイン強制、ボタンは全締めのダサい制服だったが、必死になって着崩したものだ。氷帝女子は着崩す必要がない、たとえ着崩しても基準服だからお咎めはないことを考えると、死ぬほどうらやましい。腹が冷えようがパンツが見えようがかわいい制服は神なのだ。氷帝生は大変充実した学生生活を送っていることだろう。制服はそのくらい重要だ。

 

 うまくまとまらなかったけど、とにかく言いたいことは、氷帝の制服はめちゃくちゃ素晴らしいのだ。最高なのだ。男子も女子も完璧だ。

 私は氷帝の制服が好きだ。

 制服を考えてくれたであろう先生(と関係者の方々)、本当にありがとうございます。今後も氷帝の制服と丈をよろしくお願い致します。

 そしてファンアートを描いてくださるオタクの方々、本当にありがとうございます。今後も氷帝の制服と丈をよろしくお願い致します。がっつり氷帝丈のファンアートを見かける度、手を叩いて喜んでおります。勝つのは氷帝丈です。

 実は近年ファンアート界隈で氷帝丈が減ってきているのでは、と思って殴り書きしたブログでした。ちゃんちゃん。

 

 

 

・余談

 こぼれた話をなんの脈絡もなく、片っ端から羅列していく。

氷帝学園の制服は富裕層向けの作りをしている。

 氷帝学園は、しばしお金持ちのイメージで語れるが、跡部の入学以前は普通の私立だったという説もある。しかし、氷帝学園のカリキュラムや設備から考えると、学費もそれ相応のものであることが予想される。また、テニス部正レギュラーの生徒のプロフィールから各家庭の経済水準を予測すると、普通の中学生よりは裕福な家庭に育っていることはほぼ間違いない。そもそも跡部忍足以外は、小学校から指定制服・指定鞄付きの私立に通っているのだ。テニス部に限ったデータにはなってしまうが、氷帝は富裕層の多い学校であると予想できる。

 話は変わるが、中学生は成長期の真っ只中である。特に男子生徒は、たった数ヶ月で異常なほどに身長が伸びる。いままで着ていた服が全滅することもザラだ。そのため、制服は大きめに作っておくというのが鉄則である。

 そんな中で、腕を上げたときに腹がチラッと見える丈が推奨されているのは、中々鬼畜な仕様である。氷帝の生徒は何度制服を買い直さなければならないのだろうか。きつくなってきたけどまだいけるか、なんて放置している猶予はない。気を抜いたらヘソ出し仕様の制服になってしまう。腹チラ丈はオシャレでも、ヘソ出し丈はさすがに恥ずかしい。

 つまり、氷帝の制服は成長にならって、頻繁に買い替えなければならない仕様なのだ。そのうえワイシャツは校章の入った指定シャツである。無駄に効果なものであることは最早確定事項といってもいい。

 氷帝の制服は、氷帝の生徒にふさわしい――すなわち富裕層向けの作りをしているのではないだろうか。

 この仮説は、氷帝の制服がデブには着こなせない作りになっている理由にも対応している。

 厚生労働省は2015年に、『低所得世帯は高所得世帯に比べて、肉や野菜の摂取が少なく、穀物の摂取が多く、栄養バランスがとれていない』と発表した。また、男女ともに低所得層の方が肥満傾向は高いというデータも出ている。一人暮らし経験のある方はわかると思うが、生鮮食品は高いのだ。食費を削ろうとすればパンやカップ麺、米に偏る。これはめちゃくちゃ太るし体調がゴミになって死ぬ。

 以上のことから、私は氷帝の制服は富裕層向けの作りをしているのではと推測する。

 あとさらに余談だけど、たぶん氷帝男子はベルトにこだわってると思う。丈のせいでちらちら露出するベルトにさりげなくハイブランドとか使ってたらめちゃくちゃかっこいい。ベルトで差をつけてそう。

氷帝のカリスマ月光さん

 あまりにも成長した月光さんもヘソチラ丈を着てるんだろうか。すごく気になる。月光さんは何度制服を買い替えたんだろう。シャツだけでなくスラックスやブレザーも何度も買い直してると思うが、大学教授の息子だからそこは氷帝クオリティなんだろうなと思う。金があれば万事解決。最高!

③不二丈

 これはミュだけど、不二丈というのも存在する。不二は作中で腹チラが多いからミュのユニフォームも短くつくられているという有名なアレ。氷帝の夏服よりも有名な気がする(体感)。これが他媒体(ファンアート含め)に反映されているのを見るととてもうれしい。氷帝の制服も然り。

④アンダーシャツ

 世間の男子中学生がアンダーシャツを着ているのかよくわからないけど、氷帝は着てない説が濃厚では? 原作で顕著なのは跡部景吾ですが、あれは絶対に着ていない。アニメで制服腹チラした忍足日吉向日(抜けてたら申し訳ない)も着ていない。きっと良質な生地を使っているだろうから透けることはないんだと思うと、すごく気になる。一体どんな生地を使っているんだろう…………生地の切れ端を売ってほしい。

⑤なぜ氷帝だけ腹チラ丈なのか

 単純に制服のデザインとか学校カラーだと思うけど、個人的には20.5巻が発売されたときは氷帝がめちゃくちゃ流行ってたからファンサみたいなものなのかなとか考えた。どこかで逆輸入っていうのを見たんだけど、どこから? ソースは? めちゃくちゃ気になる。関係ないけど20.5巻の裏表紙で忍足侑士のジャージのチャックが開いてることも気になる。どういう風の吹き回しなんだ……? あと20.5巻に掲載されてる氷帝男子を落とすためのアドバイスをくれる親切な特集の扉絵に『氷帝生ってどんなひとたち?』的な導入があるんですけど、ポップな字体で『スマ~イル』って書かれてる後ろにいるのがぜんぜんスマイル感ない忍足向日で笑った。

氷帝丈は品格のある行動を求めてのあれかもしれない

 腹チラ丈であるがゆえに、あまり粗暴な行動ができない。上品な振る舞いを期待しての腹チラ丈という可能性もあるなあとふと思いました。

 

 おわり